間質性膀胱炎について

診療対象

膀胱の病気の中でも見逃されやすく、かつ、最近、明らかに増加しているものに間質性膀胱炎があります。

この病気は同じく頻尿をきたす過活動膀胱と似ていますが、典型的な場合、尿をがまんしても尿もれせず、下腹部が痛くなるのが特徴です。

しかし、そこまで重症でない場合も多く、はっきりとした原因がないのに、下腹部や外陰部の不快感が長引いて見つかる場合もあります。


当院でも年々患者数が増加しておりますが、まだまだ医療者側には稀な病気であるとの認識があるようです。

中には、症状が出現してから診断がつくまでに、5年10年かかった方もいらっしゃいました。

少し詳しく、この病気について説明したいと思います。

間質性膀胱炎の症状

    • 尿が近く、いつも下腹部が不快
    • 膀胱炎みたいなのに、尿はきれいと言われる
    • 尿をがまんすると、お腹が痛くなる
  • これらの症状があり、他の病気がみつからない場合は間質性膀胱炎の可能性があります。例えば、尿がたまると、お腹や尿の出口が痛くなる。膀胱炎の薬を飲んでも、過活動膀胱の薬を飲んでもさっぱり良くならない。尿はきれいになったと言われるのに症状が変わらない。一日に何十回もトイレに行き、つらいので水分をとらないようにしている。という具合です。

治りの悪い頻尿や下腹部の痛み・不快感にお困りであれば、男女を問わず、お気軽に外来を受診ください。

患者数

欧米では10万人あたり200~300人、疑わしい患者数は680人と報告されています。

日本国内の調査では、10数年前に10万人あたり2人と極めて少ない結果でしたが、その後の調査で医療者や患者の認識不足が指摘されております。最近の大規模調査では、週1回以上膀胱痛のある方は2.2%、一日1回以上痛くなる方は1%という結果がでており、この中に相当数の間質性膀胱炎患者が含まれている可能性があります。女性が大半ですが、男性患者も実は少なくなく、全体の1~2割と考えられています。

前立腺炎や前立腺肥大症として治療されている方が多いようです。

間質性膀胱炎の原因

間質性膀胱炎は、はっきりした原因がわかっていません。

何らかの理由により尿が膀胱に浸み込みやすくなっていること、膀胱の間質とよばれる部分に炎症細胞やもろい血管がたくさんみられること、膀胱尿道に関係する神経が過剰に活動していること、などが確認されています。

自己免疫(体の抵抗力)や感染(細菌による膀胱炎)、膀胱の虚血、尿中の毒性物質などが複雑に関連して病気の原因となっている可能性も想定されています。

検査方法

カウンセリング

まず、ゆっくりとこれまでの経過をお聞きします。検尿は必ず行います。下腹部の診察は原則行いません。

排尿日誌のチェック

検査として重要なものには排尿日誌(右図)があります。ご自宅で行えるもので、100円ショップなどで計量カップを購入して頂く必要がありますが、情報量が多く、とても役に立ちます。間質性膀胱炎では、一回尿量が常時200㏄未満で、昼夜を問わず尿が近いことが多いです。


この他、必要に応じレントゲン写真、残尿の検査などを行い他の病気の可能性を除外します。診断の決め手になるのは膀胱の内視鏡で、特徴的な出血や潰瘍が観察されます。

治療方法

食事生活療法
刺激の強い飲み物は避けましょう

間質性膀胱炎の症状は精神的ストレスで悪化するといわれます。また、酸性飲料やコーヒー、香辛料、アルコール、柑橘類などが痛みを増強させる場合がありますので、食事生活療法は大切です。尿が濃いと刺激がつよくなる傾向もありますので、治療を通じて多めに飲水する習慣をつけるとよいでしょう。

水圧拡張術
多くの方に有効な治療法です

診断と治療を兼ねて行う膀胱の水圧拡張術は前述のように入院麻酔が必要ですが、半数以上の方に有効です。治療翌日から痛みが劇的に改善する方もいます。ただ、水圧拡張術の有効期間に個人差があり、他の治療を併用する必要性が高いです。

薬物療法
軽度の場合は内服薬で治療が可能です

軽症の場合は抗ヒスタミン薬や三環系抗うつ薬などの内服治療が有効な場合があります。また、抗アレルギー薬が効果的な場合もあります。
内服薬の他には、例えば、DMSOという薬の膀胱内注入治療があり、水圧拡張で改善の不十分な場合や症状が再発した場合に行っています。およそ8割の方に有効な印象ですが、諸事情あり、どこの病院でも行えないのが難点です。いずれの治療を行った場合も気長に経過をみせて頂く必要があります。

間質性膀胱炎に対する膀胱炎DMSO注入療法が保険適応になりました。(PDF)

間質性膀胱炎に対する膀胱炎DMSO注入療法が
保険適応になりました。

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一人で悩まずにまずはご相談ください!

間質性膀胱炎の治療には根気が必要ですが、長い目でみると、良くなっている方が大部分です。夜明けのない夜はありません。治りの悪い頻尿や下腹部の痛み・不快感にお困りであれば、男女を問わず、お気軽に外来を受診してください。