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北海道札幌市の泌尿器科専門病院です

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泌尿器memo 3  子どものおもらしの話privacy policy

はじめに

  • 生まれたばかりの赤ちゃんは、反射的に排尿します。つまり、ある一定量の尿がたまると即座に出てしまうのです。それが脳の発達とともにだんだん尿を我慢できるようになり、場所と時間をわきまえて排尿することが出来るようになります。
     おもらしの良くなる年齢は様々です。ちょうど、歩行や言葉の上達に個人差があるようなものです。しかし、特に夜のおもらし(夜尿)は長引くことも珍しくないので、修学旅行や宿泊研修を不安な気持ちで迎える親御さんとお子さんが当院を訪れることは少なくありません。
     と、いうことで、今回はおねしょ(夜尿症)を中心とした子供の尿もれの話をしたいと思います。

もくじ


1.おねしょはいつ頃までになくなることが多いのですか?

  • 子供の夜尿は5-6歳児で20%弱にみられます。男児にやや多く、男女比はだいたい3対2といわれています。小学校4-5年生で自然消失することがほとんどですが、小学校入学以降で本人や家族にとって問題になる場合には治療を考慮します。具体的には小学校一年生以降で週の半分以上おねしょをする場合、治療をすることが多いです。

2.おねしょはなぜ起こるの?

  • 夜尿児は睡眠中の膀胱の大きさが昼間に比べて小さいことが知られています。また、膀胱の容量を越えてしまうほど、夜間尿量が多いことも知られています。これは尿量や水分を調節しているホルモン(抗利尿ホルモン)が夜間に十分に分泌されていないことに関係しています。つまり、夜の尿量と膀胱の大きさのバランスがよくないことが主な原因なのです。
  • 寝ている間の尿意(尿のたまってきた感じ)に対する脳の反応が鈍いことも重要です。おねしょは体や心の発育と連動してよくなることが多いといわれています。
  • ストレス(叱られる、両親の不仲、環境の変化など)がおねしょの重要な原因と強調されていた時代もありましたが、最近では、原因というよりは上に述べたものを悪化させる因子、と考えられるようになってきています
    

3. おねしょの治療をくわしく教えてください

  •  起こさない、怒らない、あせらない、が、いわゆる三原則です。あまり早いうちから夜中に起こすことは、成長ホルモンや前述の抗利尿ホルモンの分泌を低下させ、睡眠中の尿をためるメカニズムに影響を及ぼす可能性があります。
  • まず試みることは、寝る前の飲水制限です。年長児では夜間のアラーム療法(おねしょの出現を知らせる専用のアラームを用いる治療)を試みます。
  • 音が鳴り始めると尿を我慢する習慣をつけ、完全に起こすことなく夜尿を治してゆきます。ただ、家族の協力が必要ですし、治療機器が若干高価ですので、実際に最も多く行われているのは、薬による治療です。点鼻薬(抗利尿ホルモン剤)や内服薬(夜尿に効果のある抗うつ薬)を用います。内服薬は8割以上の子供に有効で最も汎用されています。
  • まれに心臓や脳神経系への副作用があるとされ、欧米では日本ほど使われません。点鼻薬はより安全ですが、内服治療より煩雑なためか、それほど普及していない印象です。夜の尿がうすくて多い場合に特に有効、かつ、即効性です。副作用としては頭痛やむくみがまれにみられます。いずれの治療も気長にゆっくりと経過をみていきます。
     

4.昼間も近くて漏れやすく困っています。

  • オムツがとれてからずっとトイレが近くて、遊んでいるときや学校などで尿がもれやすい状態が続く場合には、過活動膀胱という病気を疑います。これは膀胱の筋肉が非常に敏感で勝手に収縮しやすい状態で、尿意を感じたあとの我慢がきかないものです。
  • 主な原因は膀胱を支配する神経系が未熟なことです。自然に治ることもあり、症状の軽い場合には、トイレにまめに行くことのみを指導することもあります。
  • 尿もれがひどかったり、無理に尿をがまんするために膀胱炎を繰り返しやすいような場合には、抗コリン薬というお薬を試みます。上手に使えば治療効果の高いお薬です。
  • 過活動膀胱は脳や神経の病気が原因であることもあります。また、昼間は症状がなく大丈夫でも、夜間のみ膀胱が過活動で収縮しやすいために起こるおねしょがあり、この場合にも抗コリン薬が効きます。
     

5.早めに病院を受診したほうが良いのはどういうときですか?

  • 特に注意する点は、日中の頻尿(尿が近い状態)や尿もれがないか、膀胱炎や腎盂炎などの尿路感染症を起こしたことがないか、排尿障害(尿が出づらい、勢いが弱い)はないか、などです。
  • 中には神経系や尿路系の先天異常が背景にあることがあります。子供なのに便秘に悩んでいたり、背骨や臀部にこぶや凹みなどがみられる場合、なども精密検査の対象になります。
     

6. 生まれつきの病気にはどんなものがありますか?

  • 膀胱(とその支配神経系)が未熟なために尿をがまんできない過活動膀胱は日中のおもらしや頻尿の原因として最も多いものです。過活動膀胱の原因となる生まれつきの病気としては二分脊椎症という背中の病気に関連したものが最も多いです。膀胱や尿道の神経が影響をうけるばかりでなく、歩行など下肢の問題や便秘や便がもれやすいなどの問題を赤ちゃんのときから一緒に抱えている場合もあります。中には、成長期になってからはじめて、尿や便の症状や歩行の問題などが出現して気づかれることもあります。
  • この他、尿道の一部に生まれつき狭い部分があって、尿の出が妨げられているために膀胱に無理がかかり、頻尿や尿もれの原因となることもあります。いずれも、診断にはレントゲン検査や膀胱尿道の機能検査が必要で、治療は原因となっている病気の治療が主体になります。

7.どんな検査をされるのですか?

  • 検査から治療に至るまで、特に小さなお子さんではご両親など保護される方の協力が必要です。患児自身が尿もれや出の悪さなどをくわしく訴えることは珍しいので、ご家族の観察が貴重な情報になります。
  • 問診と検尿、簡単な診察のみでおおよその診断をつけ、薬物治療などを開始することがほとんどです。出来るだけ注射や管を入れるような不快感を伴う検査は避けます。
  • 治療効果が不十分だったり、経過が長いとき、あるいは、前に触れたように、神経系や尿道の異常を疑うときには、尿路のレントゲン検査や膀胱尿道の機能検査などの精密検査を行うことがあります。検査は出来るだけ一回で済むようにします。詳しい検査の前には、医療スタッフと子供が打ち解けられるように、雰囲気作りに気をつけるようにしています。

8.最後に

  • 子供のおもらしのほとんどは自然によくなります。昼間のおもらしがあれば膀胱が未成熟なことが原因となっている場合が多く、おねしょのみがある場合は脳神経系が未成熟な場合が多いです。年長児になってから出現する症状は、なんらかの心の問題が背景にあるかもしれません。“膀胱は心の鏡である”という言葉があるくらいです。特にきちんとした検査や治療が必要とされるのは、尿もれがひどく、なかなか良くならない場合、おしっこが原因の熱を繰り返す場合、尿の出がおかしい場合などです。お子さんに気になる症状がおありでしたら、お気軽に受診してください。(文責:飴田 要)
     

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